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仙台の空屋

2024年8月15日
建築家 宮坂正寛

私の実家は東北の仙台にあった。私が建築家になって2軒目か3軒目の両親の為に設計した住宅であった。
今から5０年程前に建てた木造の住宅であり、父親は早く亡くなっていて、それでも母親が今から13年程前まで亡くなるまで生活した思い出のつまった実家であった。母親の亡後10数年間は空屋と存在していたのだった。仙台に住む弟と共同で、隣家の方からの繁茂しすぎる植木の処理を頼まれると平謝りしながら対応してくるのがやっとであった。建築家としては、実際に、頭の中で構想して実現した建物についての愛情もあるし、不要になったからと言って簡単に壊すことも出来ないプライドも待ち合わせている状態だった。15年以上前から建築家として、２０数年と言われている木造の住宅の寿命も、何とか１００年以上もつ民家並の寿命にしたいと思ってくる中で、街の中に存在する空家にも、大いに関心を持ってくるようになった。
壊す事にしか方法がないとされる木造の建物でも、改修やリノベーションにより、耐震性や利便性そしてデザインも一新されて、さらに30年～40年以上存在を輝かせて存在する。住宅を再構築される建物の群として私は創造したい。